ニューヨーク俳壇の功労者 木村玲二さん逝く

 俳句会「方舟」の主宰者であり、長らく北米伊藤園新俳句コンテストの審査員を務めていた木村玲二(俳号:木村丹乙)さんが1月21日、コロナに罹患し亡くなっていた。享年96歳だった。妻の津貴子さんを2016年に亡くし、その後娘の真里さんの保護のもと、ワシントンDCのシェアホームに入っていた。ビデオ通話でお別れをしたという真理さんは「穏やかな最期であった」と話す。

 木村さんは1926年に東京に生まれ、1957 年に渡米して以来ソーホー地区で画家として活躍する傍ら、1968年1月にニューヨーク俳句同人誌『方舟』を創刊し、多くの仲間と共にニューヨークの俳壇の発展に貢献した。

 木村さんをよく知る、俳句冊子『方舟』の編集に五十年間も関わっていた太田房子(俳号:太田風子)さんは「ニューヨーク生活の大先輩で何事につけ手解きを受け、ほんとにお世話になりました。句会に誘われて始まった俳句生活は今や私にとって生き甲斐となっております」と木村さんの死を悼む。

(週間NY生活2021年2月20日号)


木村玲二さん略歴

俳号 木村丹乙 たんいつ

1926年 東京生まれ

1957年 渡米

1968年 1月方舟を創刊

2016年 妻、津貴子さんを喪う

2021年 1月鬼籍に入る

 現代美術作家として活躍する傍ら、1968年1月にニューヨーク俳句同人誌「方舟」を創刊。編集には、妻の津貴子さん、同人の太田風子さん、加藤市朗さん、そして補助として加藤静子さんらが名を連ねる。

 また、北米伊藤園新俳句コンテストの初回当初から審査員を務めておられたが、2015年を最後に体調を崩しご辞退する。その後も回復せず、2015年6月「方舟」は休刊となる。同時に津貴子さんの尽力でメールでの句会「ハコ句会」が発足する。

2016年に津貴子さんが急逝し、方舟会員を中心にハコ句会は続けられ、 現在に至る。

2021年1月、真里さんの保護のもと入っていた、ワシントンDCのシェアホームにてコロナウィルスに罹患し、回復を待たずに鬼籍に入る。